
ベランダやバルコニーで膨れを見つけた際に大切なのは、触らず、いじらず、専門家に相談することです。
やってはいけない対応は、次の3つです。
✕ 踏まない
→ 足で踏むと、防水層の内部がつぶれて下地を傷める恐れがあります。
✕ 押さない
→ 指で押すと、空気や水分の通り道ができ、症状が広がることがあります。
✕ 剥がそうとしない
→ めくった部分から雨水が侵入し、かえって悪化する可能性があります。
これらは、膨れが気になるからといってついやってしまいがちな行動ですが、どれも逆効果です。
膨れの原因や進行度合いは、表面を見ただけではわかりません。
プロの診断で何がわかる?防水層の調査とは?

ベランダやバルコニーの防水層にぷくっとした膨れを見つけたとき、プロの診断を受けることで、目に見えない内部の状態まで詳しく調べることができます。
「表面が浮いているだけ」と思っていても、実際にはその下で雨水が入り込み、構造体を傷めているケースも少なくありません。
こうしたリスクを見逃さないためには、専門の知識と道具をもった業者による点検が欠かせません。
調査は“目視だけ”ではありません
防水の膨れは、表面を見るだけでは原因が特定できないことが多い症状です。
プロの調査では、以下のような方法を組み合わせて、膨れの原因や範囲を把握していきます。
・打診(だしん)調査
専用のハンマーなどで表面を軽く叩き、音の違いから膨れや浮きを調べます。
異常がある場所は「ポコポコ」「ボコッ」といった鈍い音がします。
・含水率チェック
下地や防水層にどれくらい水分が含まれているかを測定します。
内部に雨水が入り込んでいるかどうかがわかります。
・赤外線サーモグラフィ調査
温度差から水分の分布を確認できるため、見た目ではわからない範囲まで調査が可能です。
特に広い面積を短時間で確認したいときに役立ちます。
これらの調査を通じて、次のようなことがわかります。
・膨れの中にあるのは水か空気か
・膨れがどれくらい広がっているか
・防水層の下地が劣化しているか
・すでに雨水が侵入しているかどうか
こうした判断材料がそろって初めて「部分補修で済むのか」「全面的な防水工事が必要か」が明確になります。
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ぷくっと膨れた防水層、中で何が起きてるの?
防水層の膨れの中では何が起きているのでしょうか?
建物を雨水から守るための防水層の役割と、膨れの原因について見ていきましょう。
ベランダ・バルコニーの「防水層」とは?
ベランダやバルコニーの「防水層(ぼうすいそう)」は、雨水が建物内部に入り込まないよう、床面に施される特殊なコーティングやシートのことです。
防水層にはいくつか種類があり、使用される建物の構造や築年数によって異なります。
・FRP防水
ガラス繊維で補強したプラスチック樹脂で、強度が高く、耐久性も優れています。
・ウレタン防水
塗膜タイプで、施工性がよく複雑な形状にも対応可能。住宅で比較的多く使われています。
・シート防水(塩ビ・ゴムなど)
あらかじめ工場で作られたシートを貼りつける工法で、均一な仕上がりが期待できます。
膨れの正体とは?中で何が起きているのか
膨れの中にあるのは「空気」や「水分」です。
なぜ閉じ込められてしまうのかには、いくつかの原因があります。
・接着不良や素材の浮き
防水材が下地とうまく密着していないと、間に空気が残ってしまい、後に熱で膨張して膨れを引き起こします。
・経年劣化による水分の侵入
築年数が経つにつれ、防水層自体が硬化し割れやすくなり、小さな隙間から湿気や水が入り込むようになります。
・施工不良による初期不具合
適切な乾燥時間を取らずに次の工程に進んだ場合など、防水材の中に水分が残り、それが後になって蒸発・膨張して膨れとなることもあります。
・湿気の多い環境や急激な温度変化
特に室内側との温度差が大きい場所では、結露などの湿気が原因で膨れが生じる場合もあります。
ぷくっと膨れた防水層は雨漏りの前兆?

ベランダやバルコニーのぷくっと盛り上がった膨れは、「雨漏りの一歩手前」である可能性があります。
放っておいても問題なさそうに見えるかもしれませんが、膨れの下では静かに劣化が進んでいるかもしれません。
膨れ=すぐに雨漏り、とは限りません
膨れは、あくまで「異常のサイン」ですので、今すぐ雨漏りが始まるわけではありません。
防水層の中に空気や水分が閉じ込められて圧力がかかり、ふくらんでいる状態です。
ただし、膨れができてしまった時点で、防水層の一部はすでに正常に機能していないと考えられます。
つまり「今すぐ雨漏りではないが、将来的に高い確率で不具合に発展する」ということです。
水分の侵入があると、内部から傷んでいく
注意が必要なケースは、防水層の下に「水分が入り込んでいる」場合です。
すでに表面からの浸水が始まっており、内部に水がたまっていたり、水蒸気がこもっていたりすると、次のようなリスクがあります。
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再び晴れて乾燥しても、閉じ込められた水分は逃げ場を失い、防水層の裏側や下地にしみ込んでいく
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湿気がこもることで、コンクリートや木材の腐食・劣化が進行する
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繰り返しの膨張・収縮によって、防水層の割れやはがれにつながる
防水層の膨れは、単なる表面的な問題にとどまらないのです。
下地や構造体にダメージが進んでいることも
膨れの内側である床を支える下地や建物の構造体にまで、じわじわと水分の影響が及んでいることがあります。
特に木造住宅の場合、見えない部分で下地の板材が腐っていた、というケースも珍しくありません。
見えないダメージは、早期に気づいて対応できるかどうかで、補修の内容も費用も大きく変わります。
「まだ大丈夫」と思って放置するリスク
膨れが小さかったり、日常生活に支障がなかったりすると「そのうち直せばいい」と後回しにしてしまいがちです。
しかし、防水層のトラブルは、時間が経てば経つほど被害が大きくなる傾向があります。
以下のような流れで、症状が進行してしまうことがあります。
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小さな膨れができる
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中に水分が入り込み、下地を劣化させる
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防水層が割れたりはがれたりして、隙間が広がる
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雨水が建物内部に浸入する(雨漏り)
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室内の天井や壁にシミ・カビが発生する
ここまで進んでしまうと、部分補修では対応できず、大規模な防水工事や内装の修繕まで必要になることもあります。
東京都世田谷区の施工事例|ぷくっと膨れた防水層の補修