外壁塗装の下塗りはなぜ必要?種類と役割、手抜きを見抜くポイント

2026年7月28日更新

外壁塗装の下塗りはなぜ必要?種類と役割、手抜きを見抜くポイント

「今と同じ雰囲気にしたい」
「汚れが目立ちにくい色がいい」
「できるだけ長持ちする塗料を選びたい」

どれも、塗装をするうえで大事なポイントです。
ただ、仕上がりの色を塗る前に、もうひとつ欠かせない工程があります。それが「下塗り」です。

下塗りは、その後の中塗り、上塗りの塗料を塗ってしまえば見えなくなります。
完成写真を見ても、きちんと施工されたかどうかは分かりません。

目立たない工程ですが、外壁と仕上げ塗料をつなぎ、塗装を長持ちさせる土台をつくっています。
しかも、下塗り材なら何を使ってもよいわけではありません。外壁の素材や傷み方、以前に塗られた塗料との相性まで確認して選ぶ必要があります。

今回は、外壁塗装に下塗りが必要な理由や下塗り材の種類、見積もりを取るときに確認しておきたい点をまとめました。

外壁塗装の下塗りはなぜ必要?

窯業系サイディング外壁にローラーで下塗りを行う様子

一般的な外壁塗装は、下塗り、中塗り、上塗りの順に進みます。
中塗りと上塗りには、外壁を雨や紫外線から守り、色や艶を整える役目があります。

それに対して、下塗りが担当するのは仕上げ前の下地づくりです。
色を付けることが主な目的ではないため、完成した外壁からその働きを想像するのは難しいかもしれません。

下塗りが外壁の状態に合っていないと、上にどれだけ高性能な塗料を重ねても、その力を十分に発揮できなくなります。

外壁と仕上げ塗料を密着させる

下塗りの大きな役割は、外壁と中塗り・上塗りに使う塗料を密着させることです。

外壁に仕上げ塗料を直接塗っても、下地によってはうまく定着しません。
塗った直後はきれいに見えても、数年もたたないうちに膨れや剥がれが出るおそれがあります。

下塗り材が外壁と仕上げ塗料の間に入り、双方をつなぎます。
よく「接着剤のようなもの」と説明されるのは、この働きがあるためです。

ただし、本物の接着剤と同じではありません。
下地への浸透や表面の補強、細かな凹凸の調整など、使用する下塗り材によって役割は少しずつ変わります。

塗料が外壁に吸い込まれるのを抑える

塗膜が劣化した外壁は、水分を吸いやすくなっています。
その状態で仕上げ塗料を塗ると、塗料まで外壁に吸い込まれ、場所によって艶や色の出方が変わってしまいます。

特に、表面が粉っぽくなっている外壁や、塗膜が薄くなって下地が見えている部分は吸い込みが激しくなりがちです。
先に下塗り材を塗って吸い込みを落ち着かせれば、中塗りと上塗りを均一に重ねやすくなります。

仕上がりをきれいに見せるだけではなく、必要な塗膜の厚みを確保するためにも欠かせません。
外壁を触ったときに白い粉が付く場合は、塗膜が劣化している可能性があります。

詳しくはこちらもご覧ください▶︎外壁を触ると白い粉?チョーキング現象の原因と外壁点検が必要なサイン

外壁表面の細かな凹凸を整える

モルタルやコンクリートの外壁には、細かな凹凸や小さなひび割れが生じている場合があります。
厚みを付けられる下塗り材を使うことで、表面をなめらかに整え、仕上げ塗料を塗りやすい状態にできます。

ここで注意したいのは、下塗りだけですべてのひび割れを直せるわけではないこと。
幅のあるひび割れや動きが続いている箇所は、塗装前に補修が必要です。

雨水が内部へ入っているなら、原因を調べる作業も欠かせません。
傷んだ外壁をそのまま塗料で覆っても、根本的な補修にはならないからです。

外壁塗装に使われる下塗り材の種類と選び方

外壁塗装に使用するシーラーやプライマーなどの塗料缶

 

外壁塗装に使われる下塗り材の種類

見積書を見ると、「シーラー」「プライマー」「フィラー」といった名称が記載されていることがあります。

どれも下塗りの工程で使われる材料ですが、得意な働きは同じではありません。
製品によって性能や適用範囲に幅があるため、名称だけで判断せず、実際の商品と仕様を確認することが大切です。

下塗り材 主な役割 使用されることが多い下地
シーラー 吸い込みを抑え、下地を補強する 窯業系サイディング、モルタル、コンクリートなど
プライマー 上塗り塗料との密着性を高める 金属、サイディング、旧塗膜面など
フィラー 凹凸や細かなひび割れを埋めて表面を整える モルタル、コンクリートなど
微弾性フィラー 表面を整えながら、細かな動きに追従する モルタル、コンクリート、ALCなど
 

「サイディングにはシーラー」「モルタルにはフィラー」と覚えると分かりやすいのですが、現場ではそれほど単純ではありません。

同じ窯業系サイディングでも、築年数や日当たり、これまでの塗装歴によって表面の状態は変わります。
外壁材の種類だけではなく、旧塗膜や仕上げ塗料との組み合わせまで見て下塗り材を決めます。

窯業系サイディング

セメント質を主原料とする窯業系サイディングでは、吸い込みを抑えて密着性を高めるシーラーがよく使われます。

近年のサイディングには、光触媒や無機系、フッ素系などの表面処理が施された製品もあります。
光触媒や無機系、フッ素系など、塗料が密着しにくい表面処理が施されたものは「難付着サイディング」と呼ばれます。

こうした外壁には、対応する下塗り材を選ばなければなりません。
汚れが付きにくい反面、一般的な塗料まで密着しにくいことがあるため注意が必要です。

既存の塗膜を確認せずに塗ると、早期剥離を起こす可能性があります。
難付着サイディングに対応した下塗り材を選ぶなど、現地での判断が求められます。

すでに外壁が反っている、継ぎ目が開いているといった場合は、塗装だけでは直せないこともあります。
補修方法を詳しくご紹介しています▶︎外壁が浮いて見えるのは危険?サイディングの反り・隙間の原因と補修方法

モルタル・コンクリート外壁

モルタルやコンクリートの外壁では、表面の状態に応じてシーラーやフィラー、微弾性フィラーなどを使い分けます。
吸い込みが強い場合は、先にシーラーで下地を補強することがあります。

細かなひび割れや凹凸が目立つ外壁なら、厚みを付けられるフィラーが候補に入るでしょう。
旧塗膜が残っている場合は、その種類や密着状態も確認します。

古い塗膜が浮いている上から下塗りをしても、塗膜ごと剥がれてしまいます。
高圧洗浄やケレンで弱くなった部分を除去し、必要な補修を終えてから塗装へ進みます。

ALC外壁

ALCは内部に細かな気泡を持つ外壁材です。
軽量で断熱性や耐火性に優れる一方、水を吸いやすいため、表面の塗膜や目地の防水性が欠かせません。

下塗り材には、ALCに対応したシーラーやフィラーなどを使用します。ひび割れや目地の劣化、欠けがある場合は先に補修が必要です。
外壁の内側へ水分が回っている状態で表面だけを覆うと、塗膜の膨れや剥がれを招くおそれがあります。

雨漏りの疑いがあるときは、塗装より先に水の入り口を調べることが必要になります。

金属サイディング

金属サイディングでは、塗料の密着を助けるプライマーや、素材に対応した錆止め塗料を使用します。

塗装前の下地処理も重要です。
錆や剥がれかけた塗膜を残したままでは、下塗り材がきちんと密着しません。

表面に傷を付けて塗料の食い付きをよくする「目荒らし」が必要になる場合もあります。
金属といっても、亜鉛メッキ鋼板やガルバリウム鋼板、アルミなど種類はさまざまです。

素材に合わない下塗り材を使えば、密着不良を起こすおそれがあります。

下塗りを2回行う場合もある

外壁の劣化が進み、1回目の下塗り材を激しく吸い込んでしまう場合は、下塗りを2回行うことがあります。

ここで見るべきなのは、単純な回数ではありません。
2回必要な状態なのか、使用する製品の施工仕様に合っているのかがポイントです。

反対に、メーカーが1回塗りを指定している下塗り材を、理由もなく重ねればよいとも限りません。
塗布量や乾燥時間を含め、製品ごとの仕様に沿って施工します。

屋根塗装における回数の考え方については、こちらをご覧ください。
▶︎屋根塗装の『うちは4度塗りです』は要注意?適切な回数は屋根しだい

 

下塗りの手抜きや施工不良を防ぐ確認ポイント

外壁塗装の見積書や施工内容を確認する打ち合わせの様子

下塗りは完成後に見えなくなるため、「本当に塗ったのかな」と不安になる方もいるでしょう。

残念ながら、完成した外壁だけを見て下塗りの有無や施工状態を見抜くのは困難です。
工事後に見破ろうとするより、契約前と施工中に確認できる仕組みがある会社を選ぶほうが現実的です。

見積書に下塗り材の商品名が書かれているか

「外壁塗装一式」とだけ記載された見積書では、どの下塗り材を使うのか分かりません。
少なくとも、下塗り・中塗り・上塗りの工程と使用する商品名は確認したいところです。

下塗り材の商品名が分かれば、外壁や仕上げ塗料に適合しているかも調べられます。
説明を受ける際は、「なぜこの下塗り材を使うのですか」と聞いてみましょう。

外壁材の種類や現在の傷み方を踏まえた答えが返ってくるかどうかが、ひとつの判断材料になります。

塗布量と乾燥時間まで守られているか

下塗り材は、ただ外壁全体に付いていればよいものではありません。
メーカーは製品ごとに、1平方メートルあたりの使用量や次の工程へ進めるまでの乾燥時間を定めています。

塗布量が少なければ、吸い込みを十分に止められないことがあります。
反対に塗りすぎても、乾燥不良や塗膜の不具合を起こしかねません。

乾燥する前に中塗りへ進んだ場合も、密着不良や膨れの原因になります。
天候や気温、湿度によって乾き方が変わるため、予定表だけを優先して急ぐことはできません。

工程ごとの写真を残してもらう

下塗りの施工写真があれば、工事後も工程を確認できます。

写真は、遠くから外壁全体を写したものだけでは少し分かりにくいかもしれません。
使用した塗料缶、施工中の様子、下塗り完了後の状態が記録されていると安心です。

下塗り材が透明な場合は、写真でも塗った箇所を判別しにくいことがあります。
どの面をいつ施工したのか、作業報告と一緒に残してもらうと確認しやすくなります。

まとめ:外壁の状態に合った下塗り材をご提案します

下塗り材を選ぶためにサイディング外壁の状態を点検する作業員

下塗りは、塗装後には見えなくなる工程です。
だからこそ、何を使い、どのように施工するのかを事前に確認しておきたいところです。

下塗り材を選ぶ際は、外壁材の種類だけでは判断できません。
表面の劣化、ひび割れ、旧塗膜、仕上げ塗料との相性まで確認する必要があります。

ホームテックワンでは、塗装前に外壁の状態を調査し、必要な補修と下塗り材を検討します。
工程ごとの写真も残し、完成後には見えなくなる部分まで分かりやすくご報告しています。
▶︎外壁塗装の費用と施工内容

「見積書に書かれている下塗り材が自宅に合っているか分からない」
「外壁の傷みが塗装で直せる状態なのか見てほしい」

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