パミール屋根は塗装NG?劣化の特徴と失敗しないリフォーム方法

2025年12月25日更新

パミール屋根は塗装NG?劣化の特徴と失敗しないリフォーム方法-アイキャッチ

屋根のメンテナンスを考え始めたとき、「そろそろ塗装かな?」と思う方は多いのではないでしょうか。

しかし、もしご自宅の屋根がパミール屋根だった場合、その判断は要注意です。

 

パミール屋根は、一般的なスレート屋根とは異なり、塗装では対応できない劣化症状が起こることで知られています。

見た目では大きな異変がなくても、実は内部から屋根材が剥がれ、気付いたときには雨漏りや落下事故につながるケースも少なくありません。

「知らずに塗装してしまった」「もっと早く対処しておけばよかった」という声も多く聞かれます。

 

この記事では、パミール屋根の特徴や起こりやすい劣化症状、塗装できない理由、そして後悔しないための正しい対処法までを分かりやすく解説します。

これから屋根リフォームを検討されている方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

パミール屋根とは?特徴と採用された背景

 

パミール屋根は塗装NG?劣化の特徴と失敗しないリフォーム方法-パミール

 

パミール屋根とは、ニチハ株式会社が1996年頃から2008年頃まで製造・販売していた化粧スレート屋根材です。

現在では「塗装できない屋根」「注意が必要な屋根材」として知られていますが、発売された当時は、むしろ「新しい時代の屋根材」として注目されていました。

 

パミールが登場した背景には、1990年代後半に起こった建築業界の大きな変化があります。

それが、アスベスト(石綿)の使用禁止です。

それまで主流だったアスベスト入りの屋根材が使えなくなり、各メーカーがノンアスベスト屋根材の開発を進める中で誕生したのがパミールでした。

つまりパミールは、ノンアスベスト屋根材の先駆け的な存在

安全性や環境面に配慮した屋根材として、多くの住宅で採用されていったのです。

 

素材はセメントを主成分としたスレート系で、軽くて施工しやすいのが特長です。

そのため、コストを抑えたい建売住宅や分譲住宅を中心に広く使われ、1990年代後半から2000年代前半に建てられた住宅では、今でも見かけることがあります。

 

見た目は普通。でも中身は要注意

パミール屋根は、見た目だけでいうと一般的なスレート屋根とほとんど変わりません

色や形もよく似ているため、専門業者でなければ見分けるのは難しい屋根材です。

 

そのため、「そろそろ屋根塗装の時期かな?」「今まで特に問題なさそうだったし…」と思って点検を依頼した結果、初めてパミール屋根だと分かるケースも少なくありません。

築15年〜25年ほど経ってから気付くことが多く、その時点ですでに劣化が進んでいることもあります。

 

なぜ「問題のある屋根材」と言われるようになったのか

パミール屋根は、施工直後や築浅の段階では大きな問題が表面化しにくく、築10年を過ぎたあたりから一気に不具合が目立ち始めるという特徴があります。

 

・屋根材の先端が剥がれてくる

・表面が浮き、触ると崩れる

・風の強い日に破片が落下する

・雨漏りが発生する

 

こうした症状が各地で報告されるようになり、現在では塗装によるメンテナンスができない屋根材として、リフォーム業界では共通認識となっています。

 

パミール屋根が使われている可能性が高い住宅とは

以下の条件に当てはまる場合、パミール屋根が使用されている可能性があります。

 

・1996年〜2008年頃に建てられた住宅

・築20年前後で屋根工事の履歴がない

・建売住宅・分譲住宅

・屋根材の表面が層状に剥がれている

 

ただし、屋根に登っての自己判断は非常に危険です

屋根材がもろくなっている場合、踏み抜きや落下事故につながる恐れもあります。

そのため、専門業者による現地調査・屋根点検を受けることが重要です。

 

 

パミール屋根に起こる深刻な劣化症状

 

パミール屋根は塗装NG?劣化の特徴と失敗しないリフォーム方法-パミール

 

パミール屋根の最大の特徴は、層状剥離(ミルフィーユ状の剥がれ)が発生することです。

これは屋根材が内部からボロボロと剥がれていく現象で、表面の塗膜が劣化する一般的な屋根とはまったく異なります。

 

主な劣化症状は以下のようなものです。

 

・屋根材の表面がめくれ上がる

・薄い層が何枚も剥がれてくる

・屋根材の先端が欠ける、割れる

・強風時に屋根材が落下する

・屋根の上に細かい破片が散乱する

 

特に怖いのは、見た目以上に内部が劣化しているケースが多いという点です。

地上から見るとそれほど傷んでいないように見えても、実際に屋根に上がると、触っただけで崩れてしまうことも。

 

また、劣化が進行すると防水性が著しく低下し、雨漏りの原因になります。

パミール屋根の場合、雨漏りが起きてから対処するのでは遅く、下地の野地板まで傷んでしまうことも少なくありません

 

さらに、屋根材を固定している釘が傷んでくると、ズレや浮きが発生し、強風時に屋根材が落下するリスクも高まります

こうした劣化が重なることで、防水性が一気に落ち、雨漏りにつながってしまうのです。

 

 

なぜパミール屋根は塗装できないのか

 

パミール屋根は塗装NG?劣化の特徴と失敗しないリフォーム方法-パミール-塗装不可

 

屋根メンテナンスといえば「屋根塗装」を思い浮かべる方が多いですが、パミール屋根は基本的に塗装不可とされています。

その理由は、劣化の原因が「表面の塗膜」ではなく、「屋根材そのもの」にあるためです。

通常のスレート屋根であれば、塗装によって防水性を回復させることができます。

しかし、パミール屋根は内部から層状に剥がれていくため、いくら高性能な塗料を使っても効果がありません。

 

実際に、過去にパミール屋根を塗装してしまい

 

・数年で再び剥がれてしまった

・塗装後すぐに不具合が出た

・結果的に二重で工事費がかかった

 

といったトラブルも多く報告されています。

 

さらに、パミール屋根は非常にもろくなっているため、塗装作業中に屋根材が割れたり、欠けたりするリスクも高いです。

安全面・耐久面のどちらを考えても、塗装はおすすめできません

 

 

パミール屋根の正しい対処法と工事方法

 

では、パミール屋根の場合、どのような工事が適切なのでしょうか。

 

カバー工法(重ね葺き)

 

パミール屋根は塗装NG?劣化の特徴と失敗しないリフォーム方法-カバー工法

 

既存のパミール屋根の上に、新しい屋根材を被せる工法です。

撤去作業が少ないため、工期が短く、費用も比較的抑えられるのがメリット

ただし、下地の状態が著しく悪い場合や、すでに雨漏りが発生している場合は施工できないこともあります。

事前の屋根点検が非常に重要です。

 

メリット デメリット

・工期が比較的短い

・解体・撤去費用を抑えられる

・生活への影響が少ない

・下地の劣化が激しい場合は施工不可

・屋根が二重になるため重量が増す

・将来的なメンテナンス計画を考える必要がある

屋根カバー工法の工事内容と費用

 

屋根葺き替え工事

 

パミール屋根は塗装NG?劣化の特徴と失敗しないリフォーム方法-葺き替え

 

既存のパミール屋根をすべて撤去し、新しい屋根材に交換する工事です。

下地からしっかり補修できるため、最も安心できる方法といえます。

費用はカバー工法より高くなりますが、今後のメンテナンス性や耐久性を考えると、長期的にはメリットが大きいケースも多いです。

 

メリット デメリット

・下地からしっかり補修できる

・雨漏りリスクを根本から解消できる

・今後のメンテナンス計画が立てやすい

・工期が長くなる

・費用が比較的高くなる

・廃材処分費がかかる

屋根葺き替えについての工事内容と費用

 

どちらの工法が適しているかは、屋根の劣化状況・築年数・今後の住まい方によって変わります。

パミール屋根の場合、専門業者による現地調査が必須です。

 

 

パミール屋根は早期対応が住まいを守るカギ

 

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パミール屋根は、見た目では分かりにくいものの、内部から層が剥がれていく独特の劣化を起こすため、放置すると一気に雨漏りリスクや屋根材落下といった重大トラブルにつながる可能性があります。

塗装での延命ができないことから、早めの現状把握と最適なリフォーム計画の判断が何より重要です。

 

ここまでお伝えしてきたように、パミール屋根は一般的な屋根材とは異なる劣化メカニズムを持っているため、専門的な視点からの診断・対策が欠かせません。

適切なタイミングで正しい工事を選ぶことで、住まい全体の安心・安全につながります。

 

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早めの点検・判断が住まいの未来を変えます

パミール屋根のように、外見だけでは分かりにくい劣化は、放置してしまうほど対処が難しくなっていきます。

だからこそ、「まだ大丈夫」と思っているうちに現地調査をすることが、住まいを長持ちさせる最も効果的な方法です。

 

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